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シャープの損益計算書を調べます。

前回に続いて営業費用の分析です。この10年間でシャープはリストラや経営改革について報道されているのですが、一向にコスト削減ができていないようです。不思議に思い今回は営業費用の内訳を調べていこうと思います。
今回は海外企業との比較は行いません。
◆損益分岐点
前回に続き一般管理費の内訳を分析しますが、その前にいろいろ試行錯誤していた時に気づいた内容をついでに記載します。
損益分岐点は企業活動における黒字と赤字の分かれ目ですが部外者にはわからないものです。しかしシャープに関してはコストが常に一定で売上に幅があるので算出できるのではないかと思い調べてみました。

シャープ(売上総利益順)
シャープ 損益分岐点

シャープ 損益分岐点 グラフ

最初は損益分岐点は売上高と固定費、変動費で計算するのですが、うまくいきませんでした。―なぜうまくいかないかというと粗利益率が変動するので過去の実績から損益分岐点を推定するのが厳しかったです―
そこで売上総利益と営業費用で疑似的に算出してみました。売上総利益を年代順ではなく額が少ない方から順に並べて、その時の営業費用の近似値をエクセルで算出しました。
上のグラフのように近似数式からわかることは以下2つです。
1.固定費は約3,300億円、変動費は売上総利益1,000億円の増加に対し費用が250億円増加する。
2. 売上総利益ベースで損益分岐点はおおよそ4,500億円となり、売上総利益が4500億円を超えないと利益が見込めない。
の2点です。
まさか売上総利益と営業費用で損益分岐点を疑似的に算出できるとは思いませんでした。今後も事業計画等に変わりがないのであれば、売上総利益の推移で通期の業績がわかるかもしれません。(実際のところは最近不採算事業の売却検討が報じられているので今後の参考にはならないと思われます)

◆営業費用内訳
営業費用の内訳は額が大きいのは公表されていますが、そうでないものはその他の費用になっていてわかりませんでした。
以下ざっと要約です。

シャープ
シャープ 営業費用内訳

一般管理費の内訳は“製品保証引当金繰入額”、“従業員給料及び諸手当”、“退職給付費用”、“研究開発費”、“広告宣伝費”、“貸倒引当金繰入額”、“特許権使用料”そして“その他費用”です
SGA費に対して製品保証引当金繰入額は全体の1~4%程度と低いです。
従業員給料及び諸手当は平均25.3%額にして平均118,162百万円を占めています。SGA費の占める割合が高いのに過去10年間でほとんど削減できていません。ここで一つの疑問が出てきます。2007年に実施した大量雇用と2012年に実施した大量リストラが従業員給料の推移にほとんど現れていないことです。
 退職給付費用は全体の1~2%程度と低く業績への影響はなさそうです
 研究開発費は9~11%と低く抑えています。この項目の懸念事項は「家電メーカーにしては研究開発費用が少なすぎないか?」ということです。
 広告宣伝費は2012年以降項目がありません。シャープの製品CMや法人向けイベント・セミナーは継続していたはずなので“その他の費用”項目に入れているだけかもしれません。→単体の決算では継続して広告宣伝費が計上されていました。
 貸倒引当金繰入額は2011年以降項目がありません。貸倒引当金がなくなることは無いのでこちらも“その他の項目”に入れているだけだと思われます。
 特許権使用料は2006年、2007年に600億円と全体の11%支出しています。特許料の増減と営業費用の増減に関連がありそうなので一時的な支出だと思われます。
 上記以外の”その他の費用”は全体の40~60%を占めていてこの中に貸倒引当金、特許権使用料、一部労働者給料(雑給または業務委託費など)が含まれている可能性が高いです。

事実9 リストラをしても人件費は下がらない
事実10 一般管理費に含まれる研究開発費は少ない
事実11 07~08年に増加したのは特許権使用料
事実12 その他費用が全体の半分を占めている

◆ちょっと考察
今回一般管理費の内訳を調べて一番驚いたのはリストラ計画が意味をなしていないことです。
例えば2006~2012年に従業員数は約10000人増えています。対して2013~2015年に7600人減っています。リーマンショック後も雇用が増え続けたのは憶測ですが当時話題になっていた派遣労働者問題や社会的責任などブランドイメージに傷がつきやすい問題が連日報道されていて大胆なリストラ計画が後手に回ったのだと思われます。
次に2012年以降の従業員数の減少と従業員給料の増減に相関が無いことです。例えば2012年に従業員給料が1230億円で2013年が1100億円です。差額130億円の削減です。その間に6109人従業員が減りました。(つまり一人当たり212万円分の削減となります)ところがその後、従業員数は減り続けていますが給料は増加し続けています。
従業員数が減っているのに人件費が低下していないのは会社に残った従業員が足りない労働力を穴埋めするため残業をし、その分が上乗せされている可能性があります。プロジェクトマネジメントができていない可能性が高いです。
シャープ 従業員数と従業員給料

本来は従業員のリストラを行うのは経営戦略として“選択と集中”を行った際に不採算の事業から撤退し(選択)、余剰人員を成長産業に投入し(集中)それでも余ってしまった人員に辞めていただくのがリストラです。現在シャープが行っている希望退職者の募集は選択も集中もせずに会社全体から人員だけのリストラを行っています。その結果会社全体の組織運営に必要な人員数が減少したので全社的に残業が発生し人件費の高騰が起きている可能性があります。
対外的なパフォーマンスのために従業員を減らすのなら何もしないほうがまだマシです。
全費用の25%を占めているとはいえ成長の源泉でもある人材を減らすのは愚策です。
問題は大部分を占める使途不明の“その他の費用”ですが現在わかっていない項目である賃料・リース料、ガス水道・光熱費、通信費あたりでありそれこそ本社売却ぐらいしかすることがないといえます。抜本的な改革により“その他の費用”の内の日々の活動費を減らすことができるかもしれませんが、どのぐらいの割合でありどの程度減らせるかは不明です。

今回費用の内訳をみてわかったことはそのほぼすべてが固定費でありこれ以上のコストカットは事実上不可能だということです。従業員数を減らしても人件費が減らないこともわかりました。結局疑似的な損益分岐点で算出した固定費約3300億円あとは変動費というのは“中らずと雖も遠からず”といったところです。
コスト削減には小手先のリストラではなく根本的な対策が必要ですが、「選択と集中による液晶特化戦略が現在の苦境の原因」という認識が経営陣にあるのかもしれません。しかし経営戦略などは定性分析のときに行うので今日はここまで。


次回は5つの利益の比較をします。
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